独立を回復してから60年も経っているのに・・・

メディアによってこうも見方が違うのかと驚くことが多い。
 自民党がサンフランシスコ講和条約発効から60周年を迎える4月28日までにまとめようとしている憲法改正原案に対する評価も例外ではない。「長い歴史と固有の文化を持ち、日本国民統合の象徴である天皇を戴く国家」と日本独自の国柄を表明したうえで「天皇は国家元首である」と明記した、9条について現行の戦争放棄を維持しながらも自然権としての自衛権を明文化し「自衛軍」を保持するとした、緊急事態規定、選挙権の国籍条項に加え家族の尊重などもはじめて盛り込まれたこと等ようやく自民党が自民党らしさを取り戻したことを私は高く評価したいが、新聞の書きぶりはA社とS社では全く違う。
 A社の読者欄には「強権的な自民改革案を許すな」と大きな見出しが躍り「憲法とは、国家が国民に対し横暴な振る舞いや圧政を課すことがないよう抑止するために制定されるもの、憲法を国家が国民を支配するための道具として利用する意図が明白、自衛隊を軍と規定することは徴兵制を敷き国家や天皇のために身を犠牲にすることを強要し、思想や表現の自由を奪った時代に逆戻りしかねない」などと書かれている。日本人が書いているとは思えないような書きぶりである。
 そういえば、毎朝楽しみに見ているNHKの朝ドラ「カーネーション」にガッカリさせられたシーンが一つあった。戦争にいった息子が精神状態がおかしくなって帰ってきた理由について「危ない目に遭ったからではなく人を殺した罪悪感からだ」と決めつけ、母親に「日本の軍隊は悪いことをしたんやて」といわせている。いうまでもなく戦争はやってはならないことだが、一方が正しく他方が悪いなどと決めつけられるものではない。当時の人たちは国家の存亡をかけて戦ったし、「戦争はイヤだ、平和だ平和だ」と叫んでいるだけではこの国は守れない。
 独立を回復してから60年経ってもまだ占領下にあるような議論が絶えないようではこの国の先が思いやられる。