自分を守ることとは?

今日から参議院選挙が始まった。32の一人区で与党対野党統一候補という形になっているから与党にとっては厳しい選挙だと言われている。与党は政治の安定を訴え、野党は年金の2千万円問題、介護・医療など福祉政策で対抗している。

結果次第で安倍総理が望んでいる憲法改正問題はさらに遠のいてゆくし、ばらばらの野党が選挙のためだけ一緒になって勝ったとしてもいい政治を望むことはできない。かつてのお粗末な民主党政権で学習済みである。

先日のG20大阪サミットでみたように、安倍総理は外交や防衛問題では実に上手くやっているし、利害が衝突する国々の間をよくさばいて議長の大役を果たされた手腕はさすがである。しかし、国民の意識は例の年金と2千万円の問題のほうに行って政府批判に向かっているようだ。

世相を見て私は憂えている。我々の先輩、明治や大正・昭和初めの生まれの人たちは、戦争も体験し苦しい時代を懸命に働いて「今より良くなりたい、家族を幸せにしてあげたい」という人生を送ってこられた。私もその時代を知っている最後の世代かもしれない。

謙虚な姿勢で勤労は美徳、猛烈社員などという言葉が生まれたように日本人はよく働いた。今は「働き方改革」などと称して残業は悪だと言われる。そして、義務よりも権利ばかり要求する。そのうえ、政府や自治体に頼って税金のカネを使わないと損だといわんばかり、なんでも国が悪い、政治家が悪いと来る。

賦課方式で「100年安心年金」という言葉もいい加減だと思うが、生活保護より少ない年金で老後が安泰であるはずがない。金融庁が諮問した報告書はごく当たり前のことを言っているに過ぎないのに財務大臣の処理もヘタだ。教育や福祉の話になると甘いことしか言わない政治家も悪いし、なんでも税金のカネにすがろうとする国民もよくない。一義的には老後の生活をどうやって守っていくかまず国民自身が考えるべきことだ。

アメリカ頼みで自分で自分の国を守ろうとする気概や備えもない今の日本の防衛政策と同じだ。平和だ、平和だと叫んでいるだけではどこかの国の属国になってしまう。