国づくりの基本を考える

ハウスの前で説明してくださっている山口農園の社長さん
ハウスの前で説明してくださっている山口農園の社長さん
  大阪の橋下市長率いる「大阪維新の会」が次期衆議院選挙に向けて「維新版・船中八策」の骨子を出し、大きな話題となっている。また、維新政治塾は定員400人だというのに3300人も応募したそうだ。既成政党の中で「みんなの党」以外は船中八策を酷評しているようだ。私も首相公選制にはにわかに応じがたいし、掛け捨て方式の年金制度にも疑問を感じる。また、日本国憲法第1条にある天皇制をどう考えるのか、公選制の首相との関係はどうなるのか、最も今の憲法で問題のある第9条についてどう考えているのか等々もっと聞いてみたい気がする。とはいえ、既成政党は橋下氏を酷評する資格はないと思う。民主党はマニフェスト総崩れ状態だし、自民党も立党の柱であった憲法改正を後ろにひっこめ、他の小政党はどんな国づくりをしようとしているのか基本理念がほとんど見えてこない。橋下氏の提案は乱暴かもしれないが、どんな国を作ろうとしているのかを議論するたたき台として国民に示したことはいいことだ。ただ、批判するだけではなくそれぞれの政党が、国づくりの骨格を示せば国民は判断できる。
 今日は吉野郡黒滝村の村長さんや議長さんらとともに、奈良県宇陀市にある山口農園を視察した。私どもの特定非営利活動法人が黒滝村新産業振興委員会のお手伝いをさせていただいているから先進地視察ということで山口農園を訪ね山口社長の講義を聴き生産現場を見せてもらったのである。
 山口さんは、公務員を45歳で辞めて当時親子3人で農業をやり一年間の売り上げが380万円であったのを12年後のいまハウスで有機野菜とハーブを作り会社組織で売り上げ1億2千万円にしているという。物腰は柔らかいが、農業に対するしっかりとした哲学を持って新規就農の若者を教育し、自らも相当勉強しておられることを知り感銘を受けた。「農業は命の源」を基本に挑戦してこられた意欲が素晴らしい。
 戦後日本は「農業はダメだ、儲からない」と言って国中が商工業に走り、第1次産業をおろそかにしてきた。まさに、国の基本を軽んじた結果子供たちまでおかしくなっているのだ。
 視察のあとの会議で山口さんに刺激を受けた(人口885人、耕作放棄地が半分以上という)黒滝村の人たちが、やる気を出しておられたのが嬉しかった。わがNPO法人も負けないでがんばらなくっちゃ!国づくりの基本を忘れないように。