男の料理教室

 もしも家内が病気で倒れたら食事はどうなるだろう、外食ばかりでは困るし、毎日家内が料理をしてくれてるけどたまには代わって作ってやりたいな、料理は俺にもできるかもなどと思いながら今日までズルズル来たけれど、「よし、男の料理教室へ習いに行こう」と決心し生まれて初めてお料理を習うことになった。同年輩の友達に声をかけ二人で管理栄養士の先生のご自宅で学ぶことになり、緊張しながら今日始めて弟子入りした。

 昨晩家内がいくつか良さそうなエプロンを出して選んでくれたのだが、友達が私の分まで大阪の道具や筋で買ってきてくれたので、その黒のエプロンと三角巾を着けることにした。先生はおコメのとぎ方、包丁の持ち方、計量の仕方、など初心者の私たちを優しく丁寧に教えてくださる。そして早速郷土料理「ごんざ」「里芋と切干大根のしょうが和え」「奈良茶飯」の作りかたを伝授していただいた。「ごんざ」というのは昔から田舎で大きなお鍋に大根、里芋、人参、こんにゃく、生揚げを入れ、煮干、昆布、みりん、醤油を加えて囲炉裏の自在鍵に引っ掛けてごとごと煮たもの、野良仕事から帰ったらすぐにいただくことが出来しかも栄養バランスも良い料理だという。茶飯に入れる大豆の煎り具合、マメの皮のむき方など初体験ばかり、また切干大根の和え物など初めて食べるのでドキドキ、ワクワク。出来上がったお料理を先生を囲んで3人でいただいた。マメの入ったほうじ茶飯は香りが良く美味しかったし、素朴な郷土料理3品をかみ締めてほのぼのとした達成感を味わうことができた。レッスンは月に1回だが「お家で今日のお料理を作って奥様に食べさせてくださいね。それが復習ですから。」と言われ、帰ってきた。

 帰るとすぐ家内から「どうだった?お料理は。何時食べさせてくれるの?」と言われなんだか照れくさかった。忘れない内に復習の日を決めなきゃ、えらいことになってきた。