メディアの凄さと恐さ

 NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向ったのかー戦後70年」のテレビをみた。「メディアがおかしくなれば国家がおかしくなる。メディアが世論をつくり、その世論にメディアが流されていった。」と解説していたが、当時は軍部とメディアが手を結び戦争をあおり大本営発表と嘘の戦況を流した。真珠湾攻撃を聖戦と称え、戦争が終わると手のひらを返したように占領軍べったりの姿勢をとった新聞・ラジオの責任はまことに重い。間違った情報を伝え国民を熱狂させていた様子がよくわかった。

 佐々淳行氏の著書「彼らが日本を滅ぼす」を読むと、これまたメディア各社が仙石前官房長官の世論操作術に乗せられていた様子がよくわかる。

 「海上保安官によるビデオ流出が明らかになった直後メディア各社の取材を受けたときの第一声はほとんど『国家の秘密がこんなにも簡単に流出する日本国の情報管理や危機管理体制をどう思いますか?』だった。本来ならメディアは『国民には知る権利があり、メディアには知らせる義務がある』と菅内閣に迫り、ビデオ公開を強く要求すべきところである。逮捕した船長を中国側からの恫喝に屈して超法規的に釈放、さらに中国漁船の不当性を立証するビデオ映像を情報統制して不公表とした菅総理、仙石官房長官の判断ミスの責任こそが問われなくてはならない。」と指摘し、仙石官房長官によって、世論やメディアの関心をビデオ流出の犯人探しの方向に誘導させられたと書いておられる。その通りだ。

 メディアを悪者と決め付ける気持ちは毛頭ないけれど、第4の権力と呼ばれる如くものすごい力を持っているだけに国民をミスリードしないで欲しい。あの忌まわしい戦争と戦後の占領下、国民は本当のことを知らされなかったが故に近現代史が歪められいまだに正しい歴史を教えられていないという恐さを教訓としなければならない。

 昨日石原都知事が「子供が鳩山前首相と菅首相のことをこんな風に言ってるよ、嘘をつくことを『鳩っぽい』と言い、グズグズしていることを『直ってる』とね、子供は凄いなあ」と話してた。この国はどうなるんだろうかとみんな心配しているのに政治家は自分のことしか頭にないように思える。長い間政治と関わってきた私は一体なにをしてきたのか?情けなくなる。