伊藤選手のがんばりー大阪国際女子マラソンを観て

 奈良陸上競技協会の会長という立場をいただいているので、ご案内により第30回記念大阪国際女子マラソンを観に長居陸上競技場に出向いた。晴れとはいえ寒い日だった。スタート時のアナウンスでは気温3度、湿度49%、東の風2,4メートル、寒さと強風で選手は大変だろうなと思いながら送り出し、あとはテレビ観戦となった。最初から日本国内の有力招待選手はほとんど先頭集団を走っていたので誰がどこで抜け出すのか実に興味深いレースとなった。私は最初から奈良出身の伊藤舞(大塚製薬)選手に勝って欲しいと思いながら観ていたが、まだフルマラソンは2回目というだけにどこまでいけるかなという心配もあった。折り返し点を過ぎるとだんだん先頭集団が小さくなり奥永、木崎、堀江らが少しずつはなれていき赤羽と伊藤2人のマッチレースになった。こうなると、伊藤になんとか勝って欲しいとテレビを食い入るように見ていたが、赤羽は昨年途中棄権しているだけにご主人のコーチとともに満を持し余裕があるようだった。39キロ手前で赤羽はスパート、必死に食らいついていた伊藤を振り切って赤羽有紀子が優勝した。しかし、二位でゴールインした伊藤に心から健闘を称えたい気持ちでいっぱいだった。あの逆風の中で自己記録を2分以上縮めて2時間26分台を出したことはりっぱだし、ベテランの赤羽にあそこまで食い下がった根性は評価できるし今後が楽しみだ。大和郡山市出身、お父さんは天理大学の先生だという。同郷の人だというだけで、偏った見方をしてはいけないのだろうが、彼女の懸命に食い下がった姿を見るとどうしても肩入れしたくなってくるのである。