スポーツは感動を与えてくれるもの

 八百長疑惑に揺れる日本相撲協会が、3月大阪で迎えるはずの春場所中止決定を発表した。野球賭博の捜査から発覚したものだというが、八百長は国技である大相撲本業の不祥事であるだけに罪は一層重い。私はこの際大相撲が国技にふさわしいスポーツなのかどうなのか、各部屋ごとに別れて若い力士を育てている徒弟制度のようないまのやり方がいいのか、十両に上がる前までは一人前の処遇をしてもらえない制度でいいのか、文部科学省所管の公益法人というが、お上のお墨付きを良いことに甘えすぎていたのではないか等々この際白紙で見直したらどうかと思う。大相撲は子供の頃から好きだったし栃若戦など(歳がわかるなあ)感動で胸がふるえるようだったのに、残念だが今の大相撲は外国人力士が増えたこともあって魅力がしぼんでしまった。まじめに相撲道を追求せんとしてがんばっている力士が報われるような大手術を要す。

 大相撲とは反対に最近のスポーツからいっぱい感動をもらっている。サッカーのアジアカップ優勝もその一つだった。予選から決勝戦に至るまで全部厳しい試合だったが、ザッケローニ監督は選手一人一人の心をつかみながら上手く起用し選手がその期待に応えた結果だといえる。出場している選手だけでなく控えの選手も一体となって闘っていた様子がよくわかったしスポーツの勝ち負けは体力や技術力だけで決まるものではないということを見せ付けられた。監督と全選手の心が一つになると予測できないようなチーム力を発揮することができるのだ。ケガで出場できなくなった選手のTシャツを掲げながら優勝を喜び合っている姿に熱いものを感じた。

 わたしは奈良県の陸上競技に関係しているから、先日の大阪女子マラソンで40キロ近くまで赤羽選手に食い下がりマラソン出場2回目だというのに堂々2位となった伊藤舞さん(大塚製薬)の走りを観戦してこれも胸が熱くなった。先般のアジア大会のマラソンで銀メダルに輝いた北岡くんとともに我が奈良県出身の希望の星だ。陸上競技での奈良県出身のオリンピック出場選手はまだ一人もいないそうだが、大いに期待が持てる。もっともっと多くの人達に感動を与えて欲しい。