花を愛でる余裕

 明日から始まる平城遷都1300年祭平城宮跡会場会場の目玉である 第1次大極殿完成記念式典が皇太子ご臨席のもと開催され、私も出席した。9年の歳月、ざっと200億円かけて作られた壮麗な建物で、前の計画段階から奥野誠亮先生が関わってこられた大プロジェクトだっただけに秘書としてその過程を見てきた私にとっても感慨深いものがあった。祝宴の席で遷都1300年事業協会理事長の荒井知事から奥野誠亮先生に感謝状が渡された。今年7月で御歳満97歳となる奥野先生にとってこの感謝状はさぞかし嬉しいものであったろう。大極殿の工事が始まった頃「なんでそんなものにカネかけるんや」となじった人達もいた。しかし、いま完成した大極殿の姿をみると、1300年の昔われわれの先輩がどのような気持ちで奈良に都を置いたのか、また、平城京が隋や唐の影響を受けて作られた本格的な都であったことを想像しながら日本国民として素直に誇りに思う。

 ところが、今日の記念式典で壇上に座り挨拶していた二人の副大臣は、毎年文化庁が出した大極殿の建設予算にも反対してきた(当時野党であった)人達だけに私は複雑な思いであった。式典会場にはなつかしい政治家や役所の現役、OBも東京から駆けつけておられ、「政権交代によりすっかり役所も変わりました。役人が萎縮してしまって力をふるえない。これは日本国全体の国力からみると大きな損失です。」という話もあり、残念至極である。

 舛添新党誕生のニュースにマスコミは総じて冷ややか、あれやこれやとばらばらに新党が出来ると結局民主党を有利にするだけではないのかという人もいる。自民党も柱や梁が少しずつ抜けていってどうなるのか「しっかりせんかい」と言いたくなる、民主党は普天間問題に結論を出せないでどうするのか、政治資金問題で、鳩山は結局秘書に罪をかぶせて自分は責任をとらない、小沢もほうかむりをして逃げ切るのか、断じてそんなことを許してはならない。

 俗世間は心配なことばかりだが、今朝も家内と奈良公園を歩きながら楚々とした美しさを漂わせるハナミズキをみてこころ洗われる気持ちになった。今年は、桜・桃・菜の花・もくれん・水仙・沈丁花・チューリップなどいっぱい花を楽しむことが出来る。何十年と花を愛でる余裕すらなく走り抜けてきた、人生はこころの豊かさを感じてこそ幸せだといえるのに、この歳になって自分を振り返り恥ずかしく思う。