歴史認識と国益

NHKスペシャル日本と朝鮮半島第1回「韓国併合への道」伊藤博文暗殺と安重根・日韓は歴史認識を埋められるのか、をみて思った。

 かつて私は衆議院文部科学委員会で当時文科大臣であった大島理森氏に質問した。「ハルピン駅頭で伊藤博文公を暗殺した安重根は韓国では英雄、韓国の切手にもなっている。ところが日本では伊藤博文という人は憲政の功労者として国会議事堂の正面玄関に立像があるえらい人、この人を殺した安重根は日本からみれば憎いテロリストである。にもかかわらず、日本の子供たちに教える歴史教科書は安重根を写真いりで英雄扱いしている、日本の教育行政を預かるトップの文科大臣としてこれでよいと思っているのか。」という主旨を実際の教科書を示しながら迫ったのである。大島大臣がどう答えられたかは覚えていないが(議事録をみればわかることではある)私がしつこく食い下がったもので「このへんで勘弁してください」と言われたのだけは覚えている。韓国の反発を恐れたのでしょう。私が言いたかったのは、「歴史認識は国によって皆違うものだ。韓国で子供たちにどう教えようととやかく言うことではないが、安重根という朝鮮のテロリストによって日本の重要人物が殺されたということを日本では正しく教えるべきだ。」ということだ。NHKの解説者も日韓の歴史認識を同じになるよう努力すべきだという気持ちを述べていたが、現実の歴史や政治を踏まえるとそれは無理なはなしだ。

 そもそも2千年の歴史を荒っぽく振り返ると、地政学的にみて朝鮮半島はロシアの南下政策や中国の介入、それを許すと危ないとする日本らに翻弄されながら今日に至っている。また百年前の李王朝は誠にみじめな状態でありいまから思えば日本統治時代があったればこそ発展を遂げることができた側面もある。植民地政策を正当化するつもりはないし行きすぎたこともあったかもしれないけれど、朝鮮半島の人達には申し訳ないが、日本が入っていなければロシアの属領になっていたであろう。日本も朝鮮半島がロシアに押さえられてしまったら防衛上非常に危険なことになっていたでしょう。それぞれの国がそのときそのとき国益を考えながら自分の国を守るため必死の努力をしているのであって、国益がぶつかり合うのが外交である。

 朝刊の見出しに、米「普天間を継続使用」鳩山政権に失望し判断という文字が踊っていた。今の日本の指導者は国益というものをどう考えているのか?鳩山総理は確か米スタンフォード大学で学ばれたのではなかったか、米国の力や日本に対する見かたなど私ら以上にわかっているはずなのに・・・・・・あらゆる面で日本の綻びが心配だ。

 私は日本の子供たちに先輩がこの国を守るために苦労された姿を教えると同時に、日本人として誇りを持てるような教育をしてほしいといつも願っている。