小柴昌俊先生の講演を聴いて

ノーベル賞受賞者小柴昌俊先生の講演を聴く機会に恵まれた。「僕は東大の物理をビリで卒業した。学校の成績だけで人間の一生が決まるものではない。また成績トップであれば能力のある人とは限らない。」とおっしゃって実際に優が2つしかない自分の成績をスライドで見せノーベル賞受賞に至るまでのお話をされた。実に気さくで偉ぶったところが無いし好感がもてた。

「やれば、できる。」というご著書をいただいたので新幹線のなかで一気に読んでますます小柴ファンになった。小児麻痺になったこと、アルバイトしながら勉強された苦労話、逆境にあってもめげない気力、世界中の物理学者と積極的に付き合われる姿勢、若者を育てようとされる努力などどれをとっても素晴らしい。人間としてのスケールの大きさを感じた。カミオカンデ、ニュウトリノという言葉もなんのことかわからなかった、物理なんて私にとっては最も弱く縁遠い世界のいったんを知り嬉しくもなった。「理科を好きになれるかどうかは小学校4,5年から中学校1,2年の最も頭の吸収力の良い頃良い理科の良い先生に恵まれるかどうかという要素が大きい。やはり先生の存在は大きいですよ。」という言葉が印象的だった。