オバマ大統領の被爆地広島訪問報道に思う

アメリカのオバマ大統領が被爆地広島を訪れるというニュースが話題を呼んでいる。日本国内はメディアを含め総じて好意的だが、アメリカ国内では「謝罪に行くなんてとんでもない」と反対している勢力もかなり強いとか、また、中国・韓国では違った意味で批判的な反応をみせている。

オバマ大統領は、核廃絶をうたい続けているけれどロシアをはじめ国連で拒否権を行使できる5つの大国は核を持ちながら一向に動く気配はない。そして、イランや北朝鮮が核を持つことに反対している。私は北朝鮮の肩を持つ気はさらさらないが、すでに核を持っている大国は当然のごとく振る舞い、新たに核を持とうとする国は許さないという論理は横暴そのものだと思う。

アメリカ国内では「広島・長崎への原爆投下は正しかった。原爆を落としたことによって早く戦争が終結し、多くの日本人やアメリカ兵の命を救うことができた」と学校で生徒に教えている。「謝罪に行くなんてとんでもない」という人たちが多くなるのも当然だ。オバマ大統領が核廃絶を訴え広島を訪れることは結構なことではあるがこれで核廃絶に向かって大きく前進するなどと思えるほど甘くはない。日本は金輪際戦争はしない、非核三原則もあると誓っているが、平和だ平和だと唱えているだけで平和が続くものではない。皮肉な話だが、原爆を落とされた日本が、アメリカの核の傘に入っているのも事実だし、佐藤・ニクソンの密約でわかったように日本国内の米軍基地に核ミサイルが持ち込まれているのも事実だろう。共和党大統領候補のトランプ現象に見られるようにアメリカ人の考え方も変わってきている。アメリカはあくまで自国の国益に向かって進む、アメリカにおんぶにだっこしてもらっていたら日本は大丈夫だと思ったら大間違い。

石原慎太郎氏の「天才」を読んで、田中角栄元総理が日本の国益を守るためアメリカの国益に反する行動にでたことが、ロッキード事件での失脚につながっているのがよくわかる、例えば、アメリカべったりの小泉元総理と比べると、田中角栄さんが残してくれた政治的遺産がいかに大きいかが透けてみえる。