古来希なりとは?

 「とうとう来たか」と言うべきか、まだオレは60代だと思っていたのに今日で70歳を迎えてしまった。ありがたいことに健康で70歳を迎えることが出来、感謝!感謝!である。昔の人は70歳を古希と言ったが、私はまだ年寄りだという自覚が全くない。老人会に入ってくださいとお誘いを受けたがまだその気になれないでいる。毎年健康診断を受けているが、医者は「精密検査を要するところはどこもありません」と言ってくれているし、歯もいまのところ全部自分の歯、悪いのは頭の中だけのようだ。家内との会話で2人とも、「あれ取ってよ」とか「あの人」「それ、それ」と固有名詞が出てこない会話が多くなったようで、苦笑している。

 12年前に亡くなった母が、生前「正宏が生まれたときは逆児だった。生まれたとき泣き声が直ぐに出なかったので心配したよ」と何度も何度も言っていたのを思い出す。今は亡き薬師寺の高田好胤管長が「わが誕生の日は母受難の日」と思えとおっしゃっていた、まさに我が母も私を生んでくれた日は受難の日だったのだと思うと、感謝の気持ちがこみ上げてくる。逆児で生まれてもこれまで病気らしい病気をすることもなく、入院や手術の経験も一度もないのはありがたいことだ。いま少しサプリメントは飲んでいるが薬は何ものんでいない。

 と言っても、人間いつ死ぬかわからないが、残された人生の時間を私はこれからも溌剌として生きてゆきたい。「僕はまだまだやりたいことや行きたいところもいっぱいあるから200歳まで生きたいよ」と家内にいうと、あきれて「お先に逝かしていただきますからどうぞご自由に」と笑っている。