もっと日本茶を飲みましょう

私は3年前から日本茶を販売している。
子供の頃から茶工場から漏れてくるお茶の香りを嗅ぎ、母親が茶刈り鋏を持って働いていた姿を見て育ったからか、茶葉を見ただけで郷愁を感じるのである。この歳になってなぜ商売に手を染めるようになったかというと、3つの理由がある。
1、大和茶の生産地である大和高原で育ち生産者のご苦労を見てきた。30~40年前のことであるが、大和高原はお茶の生産地として農林省の直轄事業として何十億円もの国費が投じられたのに苦労に見合う仕事になっていないと跡を継ぐ若者が少なくなってきている。そして、宇治茶の半分は大和茶、伊勢茶、朝宮茶などが入っているのに、宇治茶のブランド力で値段が大和茶の倍くらいになる。
2、下級茶が少し入っているだけのペットボトルが日本茶売り上げの過半を占め、良質のお茶づくりと取り組んでいる生産者がなかなか報われないし、急須も無いような家庭が多くなってきて日本古来の伝統文化がしぼみつつある。「日常茶飯事」「お茶の間」「お茶漬け」「お茶碗」など日本人の生活に欠かせないのがお茶なのにコーヒー、紅茶のほうが上のように見られている。
 税務署の人が企業に調査に入るとき、日本茶が出てくると違和感無く飲むが、コーヒーや紅茶が出てくると「これは接待にあたるからいただけません」というウソのようなホントの話に驚いた。
3、日本食がユネスコの世界遺産として認められているのに、一緒に出てくるのが中国産のウーロン茶、どうして日本茶が出てこないのか。ホテルのパーティーなどで乾杯するときもお酒の飲めない人にはウーロン茶であり、日本茶の出番がない。変な文化を作ったものだ。
 以上のようなことから、私の反骨精神がムクムクと頭をもたげ、お茶屋になった次第である。
全国の茶どころで良質のお茶を作るために汗を流している生産者から仕入れてあちこちに販売している。勉強すればするほどお茶の世界も奥が深いし、やりがいがある。世界中が健康志向である。お茶はぴったりの飲料であり、カテキンの効用をもっと多くの人たちに知ってもらいたい。抹茶を中心に世界中の人たちが少しづつ日本茶に目を向けつつある。微力だけれど、もっともっとこの勢いを加速させたいと思っている。