憂国

 最近、我が国の将来に不安を感じることが多くなっている。
地政学的に見て朝鮮半島や中国に囲まれていることから安全保障上の環境が悪化していることは言うまでもないことであるが、私が心配なのは日本人自身が劣化しつつあるのではないかと感じるのである。
 だらしのない国会議員をはじめ、己の権利ばかり主張して国家や社会のことを考えない人、今さえよければいい、先のことは考えない刹那的な人が多くなっている。日本が戦争に敗れて貧しい中這い上がってきたときは若者に夢や希望があったけれど、残念ながら今それを見つけるのが難しい。国の1000兆円もの借金がのしかかり年金や医療・介護のサービスもこれからますます重くなることを思うと、さもありなん。私が子供の頃は皆貧しかったから今日より明日が良くなるようにと頑張れた。しかし、今のミドルエイジ以下の人達は生まれたときすでに豊かだったから我慢することが難しい。
 そのうえ、これだけ周辺に脅威が迫っているにも関わらず、アメリカから与えられた憲法を70年も「平和憲法」と称していまだに変えて欲しくない人が半分近くいることが今の日本の異常性を象徴している。アメリカは日本をいい国にしようとしてこの憲法を与えたのではない、二度とアメリカに歯向かうことのないようにしてやろうと作られたものであった。誰しも戦争はしたくないけれど、平和はタダでは得られない。この日本という国を守るために命を犠牲に戦った先輩が300万人もいたことを忘れてはならない。また、占領軍は日本だけが悪かったと日本人を洗脳したけれど戦争は双方に責任がある。自虐史観から脱却しなければ戦没者やその遺族に申し訳ない。
 孤独死や家族や地域の絆が弱くなっていること、ひとり親家庭が多くなったこと、権利ばかり主張して税金のカネを少しでも多くとってやろうという根性、国家は国民が守るべきもので国家を敵視する考えの人がいることなど、自由主義・個人主義・権利主義を強調し、義務を忘れさせた今の憲法に遠因があるように思えてならないのである。
 私は日本は素晴らしい国だし、先輩たちが残してくれた文化や伝統そして日本人が本来持っている日本の心はどの国にもない立派なものだと思う。
自信を持って世界で羽ばたいて行ける日本にしたいものだ。後に続く子供や孫たちが困らないように私たち世代が果たすべき役割を間違いないようにしたい。