一票の較差

最高裁判所が、衆議院選挙が違憲状態にあるとして一票の格差を指摘し選挙区間の較差を2倍未満に収めよと指摘したことを受けて、衆議院選挙制度に関する調査会が「小選挙区7増13減、比例代表4削減」の案を先月議長に答申したことは周知の事実である。

この案によると、首都圏の定数は益々増えて人口減著しい地方は議員定数削減の運命にあり、奈良県もマイナス1の候補に挙げられている。国会では党利党略の火花が散り始めているが、果たしてこのような答申案を実現させて良いのだろうか、疑問に思うのである。

地方創生、東京一極集中の是正を叫びながら、都会の国会議員を増やし地方を削減してゆくというのでは道理が通らない。全く逆ではないか。それにいつも思っていることだが、選挙区は地方に持っていても東京生まれ東京育ちの2世3世議員の多いこと、地方創生と言いながら、選挙区にほとんど帰らない、また帰ったとしても団体や自治体の代表格の人の声しか聴いていない、地方の各界各層の意見を直接聞くことが少ない、そんな議員では地方の生の声が政治に反映できないではないか。

いまの日本が抱えている課題、高齢化、人口減少、自然破壊、耕作放棄地の増大、介護や医療が不十分、過疎化で十分な教育が受けられないなどなど皆地方に集中している。それなのに人口にしか目を向けないで一票の較差をいうのは間違っているではないか。しかも、都会は総じて投票率が低く田舎に行けば投票率が高い、これを最高裁はどう見ているのか?せめて、投票率を加味して較差を論じたらどうか。