政治とカネの問題

 週刊誌の報道から甘利大臣のカネの問題が火を噴いている。これまで、政治とカネをめぐる問題が起こるたびに内閣が吹っ飛んだり多くの政治家が辞任してきた。今の時点で決め付けてはいけないが、報道の通りだとすれば甘利さんもカネの誘惑に弱い極普通の人間だったのかという気がする。

 私は議員秘書20年と議員を二期務め、浪人時代を含めるとかれこれ30年以上政治の世界を歩んできたし秘書会長もしていたからいろんな場面に遭遇したり見聞きしてきた。秘書に政治資金を使い込まれた議員、逆に(私設秘書と釣り合いがとれないからと)公設秘書の給料の中から無理やり献金させている議員、口利きをして見返りにリベートを要求する議員や秘書、国会議員の権力をカサにきてそれを利用してカネ儲けをする人などなど。

 政治家には普通の人が経験することの出来ない権力が与えられる。大臣のように偉くなればなるほど、どんな情報も手に入れることができるし特権も与えられるから、それにたかろう利用してやろうとする人達もいっぱいいる。だから誘惑も多い。私のようなものでも、目の前に厚い札束を突き出して懇願された経験をなんどもしてきた。それをそのまま受取るようなことをしていたら今の自分はなかっただろう。

 NHKの朝ドラ「あさがきた」を毎朝楽しみにしてみている。ここに登場する五代友厚や大久保利通も史実にあるように私利は求めず借金を残して死んでいった。借金を残せとはいわないが、私利を求めずひたすら国家社会のために働く政治家がいなくなった。特に世襲政治家を見ていると、代が代わるごとに財産を増やしているように思う。

  「あさがきた」の主題歌「365日の紙飛行機」には、「人生は紙飛行機、願いを乗せて飛んでゆくよ、風の中を力の限りただ進むだけ、その距離を競うよりどう飛んだか、どこを飛んだか、それが一番大切なんだ」とある。  そのとおりだ。

 甘利さんもダボス会議から帰ったら、潔く安倍総理に辞任を申し出るべきだ。