少子化対策に思う

GDP600兆円、合計特殊出生率1,8、介護離職ゼロの目標に向かって一億総活躍社会実現に力強く踏み出してゆくという安倍総理の年頭の挨拶を聞いて、意気込みや良し、国民向けのアピールとしてはこれで良いのだろうが、一方で「絵に描いた餅」に終わらなければいいがとも思う。特に気になるのが少子化対策だ。

最近読んだ本の中で、高橋史朗先生(明星大学教授)は家族の問題で次のように指摘している。「国の少子化対策(待機児童ゼロ作戦とワーク・アンド・バランスという施策)は間違っていた。少子化の最大の原因は未婚化だ。日本の家庭は概ね二割が専業主婦で、六割は3歳までは子育てに専念して、3歳過ぎたら仕事に就きたい。二割はフルタイムでずっと働く。国の施策は都会のフルタイムで働いている二割の女性の経済対策に重きを置いているが、典型的家族である他の八割の家庭で親と子が向き合えるような環境を整備するところに焦点を当ててこなかった。親になるための学びということに国が取り組む必要がある。子供の未発達の原因に親の未発達がある。」

また、梶田叡一先生(奈良学園大学学長)は「結婚するかしないか、あるいは子供を産むか産まないかを自己決定で全てを考えていく、というのは誤まった個人主義だ。産み育ててくれた親がいて、支えてくれた学校や社会の人たちのおかげで今日の自分があるのに、なぜ自分の思うように自己決定していいのか。」と述べている。

我が意を得たりだが、どうやれば政府の施策を軌道修正させることができるだろうか?

どこかの国では「一人っ子政策」のせいで農村部を中心に1,300万人もの戸籍を持てない人間がいるという。今年の一月一日以降に2人目が生まれたらその子は認めるという政策転換、ところが、昨年の12月31日までに2人目が生まれたら160万円(日本円に換算して)の罰金を払わねばならないそうだ。

よその領土を平気で「俺のものだ」というずうずうしさ、党の幹部だけが特権を許され賄賂が横行する政治、発言や出版の自由がない社会・・・こんな国に生まれなかったことだけでもどんなにありがたいことか。

でも、次元が違うとはいえ、我が国の将来も決してバラ色とは言えない。