初めて見た母親の妊婦手帳

本棚を整理していたら、厚生労働省の大臣政務官を務めていた頃の書類から「夫を早死にさせる10か条」なるものが出てきた。

「1、太らせなさい 2、酒を飲ませなさい 3、お菓子を無制限に与えなさい 4、運動不足にさせなさい  5、肉など動物性脂肪をたくさん取らせなさい 6、塩辛い物を食べさせなさい  7、コーヒー・タバコをうんと飲ませなさい  8、夜更かし、不摂生をさせなさい  9、休暇バカンスはとらせるな  10、一日中文句を言っていじめなさい   まもなくあなたは未亡人」とある。要するに夫の健康を気遣うならこの逆をやりなさいということだ。

また、別の袋からは、なんと昭和17年8月28日奈良市役所から交付された私の母親の妊婦手帳が出てきた。黄ばんだよれよれの手帳であるが、私を生んでくれた頃の状況がはっきりと読み取れる。戦時中だから妊婦用に衣料、片栗粉、米穀、綿及びガーゼ、浴用石鹸、出産用燃料購入券などが配給されその都度受け取っていたハンコが押してある。私が生まれた月、祝餅を配給されたことも記してある。そして、妊娠中の心得として「1、丈夫な子は、丈夫な母から生まれます。妊娠中の養生に心がけて丈夫な子を生むことは、女が御国に尽くす、一番良い道であります。2、常に日光によく当たり程よい運動をして身体も心も清らかに保ち、よく眠り激しい仕事はさけねばなりません。大掃除などの場合にも気をつけることが必要です。3、食べ物は栄養分の多いものを、肉や魚や野菜など一方に偏らずに程よく取り合わせて食べることが大切です。こなれの悪いものやからし、ワサビのようなきついものはさけてください。・・・・」とある。「女が御国に尽くす・・・・」あたりはいかにも戦時中らしいが、実に手厚い行政の対応が見て取れる。1月29日午後7時、無事3075グラムの赤ちゃんが生まれた、そして産婆さんの名前も書かれている。読んでいると、平成13年に亡くなった母が急に恋しくなってきた。よくぞ私を生んでくれたと感謝の気持ちでいっぱいだ。

みんな神様から授かった尊い命、妻を未亡人にさせない(笑)ためにもしっかりと健康管理しなければ。