日本舞踊坂本流の扇供養に参列

今年で44回目を迎える日本舞踊坂本流の扇供養の儀式が元興寺境内の扇塚の前で厳かに行われた。過去何回か列席しているし、以前からのご縁で今年も雨のなか出かけた。扇供養は、踊りをやる人が命の次に大切だとされている扇が古くなって使えなくなると感謝を込めて燃やし供養するという儀式である。この日も東京にお住いの坂本晴江家元が駆け付け、元興寺辻村泰善住職に導師をつとめていただき多くの関係者の参列を得て行われた。

日本にはあらゆるものに神や仏が宿るという思想があり、キリスト教やイスラム教など一神教と決定的に違う、そういう考え方が日本の国柄を作っているといってもよい。私は挨拶を求められ、こんな素晴らしい行事を毎年続けておられることに敬意を表すと同時に坂本流が現在奈良文化の一翼を担ってしっかりと根付いておられることが嬉しいと話した。

辻村住職は、扇に魂が宿っているという考え方は日本独特のものといい、扇塚は先代大塩正人さんが扇に似た石を提供してくださりその上に本居宣長の字を写して彫ったものだといういわれを披露してくださった。

お天気が良いと境内の石舞台で披露される坂本流の舞踊が、雨なので禅室のなかで行われた。一人ひとり家元が紹介され、社中の皆さんが優雅な舞いを奉納された。

すがすがしい本来の日本文化に触れた思いがした。

                            
 
 
 
 
 
 
雨の中の扇供養 家元の焼香                     奉納舞いの様子