女性宮家創設論議に思う

 このところ連日「女性宮家の創設」がニュースになっている。秋篠宮家の長男悠仁(ひさひと)さまが公務を担われる数十年後にサポートされる同世代の皇族方がほとんどおられなくなるだろうと予測して今のうちに皇室典範を改正して女性皇族を結婚後も皇室に残そうというのだ。
 皇統の安定的な維持を図る上では私も賛成だが、議論がこのことだけに終わってはならないと考えている。女性宮家を創設しても、配偶者が一般人の場合男の子が生まれても女系となるため皇位継承をめぐる論議は避けられない。すなわち、「天皇は男系男子」と規定している現行の皇室典範をどうするのかという話になってくる。我が国の天皇制は少なくとも1300年以上男系主義を貫いてきた歴史をもっている。その間女性天皇の時代もあったがいずれも寡婦・または独身の女性であったことは周知の通り。だから、女系天皇を認めることには慎重論が根強い。平成17年当時の小泉総理は私的諮問機関を作り、反対者を入れないで女性・女系天皇を容認する報告書をまとめさせたが、悠仁さま誕生によって典範改正論議がストップした経緯がある。もう一つ(女性宮家を創設するならば)留意しておかねばならないのは、配偶者すなわち婿殿の扱いをどうするかだ。皇室に取り入って大金持ちの息子や権力欲の強い男が配偶者となって伝統ある平和な日本の皇室を乱すようなことになってはならない。 欧州などの国々の歴史を引き合いに出すまでもないことだ。
 戦後、GHQによって廃止となった宮家の皇籍復帰を主張される方々も多い。また、天皇の定年制を持ち出す人もいる。日本国憲法第一条に位置付けられている天皇の地位に関わる問題だけにあらゆる角度から広く議論すべきだ。男女同権の議論とは次元の違う話である。