スポーツの効用と感動

 最近スポーツの世界で感動させられることが多い。
1、稀勢の里の連覇 
誰もがあのケガでは照ノ富士に勝てないだろうと思っていた。痛々しい肩のテーピングからはとても2番とも勝てると思えなかった。横綱としての自覚と責任感がひしひしと我々に伝わってきた。稀勢の里の優勝が決まった途端、弟弟子の高安が支度部屋で泣いているという話を聞いて私もウルっときた。
2、羽生結弦の世界フィギュアスケート選手権大会での優勝
ショートプログラムで出遅れていた彼はフリーで完璧な演技をして期待に応えてくれた。集中力が素晴らしかった。華麗さも群を抜いていた。フィギュアの世界はどんどんハイレベルになってゆくがこれからも彼がけん引役を果たしてくれるだろう。私は彼がまだ22歳という若さなのにいつも謙虚で感謝を忘れない言葉に感心している。
3、浅田真央の引退会見
メダルこそ逃したもののソチオリンピックフリーで見せた完璧な演技は世界中のひとに感動を与えた。彼女のフィギュアスケートにかけるひたむきな姿勢と努力に誰もが応援してあげたいという気持ちになったし、(悪いけれど)またジャンプで転ぶかもしれないという危うさがかえって祈るような気持ちでファンを引き付けていたようにも思う。心から「ご苦労様でした」と「多くの感動をありがとう」という気持ちでいっぱいだ。
4、WBC世界野球選手権大会で決勝戦まで進めなかったが、よく頑張った
予選から毎試合テレビ観戦していたが、小久保監督率いる日本代表チームはよくやったと思う。ピッチャーの菅野、千賀、野手の筒香、中田、キャッチャーの小林など目立った活躍をした選手もいたが、寄り合い所帯なのに全員がチームプレーに徹していて実に好感が持てた。
その他、サッカー、ラグビー、水泳などもスポーツ選手皆頑張っていて嬉しいことである。

 私は、学生時代ボート部に所属、エイトに乗って選手生活を送った。これまでの人生を振り返ってスポーツをやってほんとに良かったと思っている。とことん体を苛め抜いて鍛える、精神的にもキャプテンを任され難しいことがたくさんあったけれど、社会に出てから学生時代の経験が生きた。少々つらいことがあってもあのボート部で経験したことに比べれば大したことではない、「ナニクソ」という気持ちが支えてくれた。
スポーツは何よりも生きる力を与えてくれる。文武両道、勉強もできるに越したことはないが、世の中頭の良い人ばかりが必要ではない。私のような頭の良くないものも生きていけるようにできている。必要なのは「ナニクソ」とへこたれない精神力と体力である。それを鍛えてくれるのがスポーツだ。
 どういうわけか、学生時代舟を漕いでいた私なのに、奈良県の陸上競技の会長を仰せつかっている。有名なアスリートを育てることも大事だが、多くの人がスポーツに親しみ強い心身を作り上げることが健康寿命を伸ばすことにもつながると思っている。