アル・ゴア元米副大統領へのお願い

   わたしは、政治家の秘書を永らく経験したあと、衆議院議員(自由民主党)を二期つとめましたが、一昨年落選、いま再挑戦を期して日々活動を続けております。数ヶ月前、アル・ゴア元米副大統領の映画とご著書「不都合な真実」を観て読んで大きなショックを受けると同時に感動を覚えました。

 「20世紀は、文明は開花したけれども人類が身勝手な振る舞いをすることによって地球を汚染し続ける世紀でもあった。このままでは人類は地球を破滅に向かわせてしまう、今こそ地球温暖化防止のために世界中が一致結束して立ち上がらねば」との思いを一層強く持たせていただきました。わたしは、日々選挙区内を「21世紀は環境の世紀― 子や孫のために ー」と書いた街頭宣伝カーに乗って有権者に駅頭で訴えております。

 しかし現実を見ますと、ゴア元副大統領も書いておられるように「不都合な真実」に目をそむけようとする人たちや、さほど緊急性を感じていない勢力も多く存在しています。1997年京都で締結された地球温暖化汚染物質の抑制を目指す国際的な約束さえ、その履行に積極的な国もあればそうでない国もあります。二酸化炭素世界第一の排出国である米国のブッシュ政権が京都議定書を無視し続けてきたことは世界中を失望させていましたが、最近ようやく地球環境問題に目を向けだしてきたというニュースを聞き、ゴア元副大統領のご活躍がそうさせたに違いないと喜んでおります。

 わが日本は、京都議定書で二酸化炭素6%(対1990年比)の削減を求められておりますが、今のところプラス8.1%になっており、14,1%削減という数値は非常に高いハードルとなっています。日本政府は目標達成に向けて懸命に取り組んでいますが、政治家の中にも与野党を問わず地球環境問題に熱心な人とそうでない人もおりますし、産業界と一般の人たちの間にも微妙な温度差があります。Photo_2

 わたしは、田舎にささやかな森林を所有していることもあって、二酸化炭素の吸収源としての森林の重要性に強い関心を持っています。にもかかわらず、日本では安い外材の輸入によって国産材が振り向かれなくなったことから、手入れをされず荒れたままの森林が多くなっております。良質な国産材がもっと利用され山の手入れや自然保護に力を入れれば二酸化炭素吸収源としての役割が飛躍的に増大し、山に住む動植物の生態系が維持されます。

 環境問題について、個人ができることはささやかですが、政治家ができることは大きいと思います。わたしはこれからも政治の世界で環境問題をテーマに活動したいと考えております。数年前、「環境税」を日本でも導入すべきだと思い、国会議員78名でフィンランド、オランダ、ドイツなどを訪問し勉強してまいりました。日本に戻って「環境税」導入の声をあげると、自由民主党の中でも大激論になりましたが、電力、石油などの業界を代弁する議員や官僚も多く残念ながら今もって合意に至っておりません。

 ゴア元副大統領がおっしゃるように、わたしも子供や孫たちから、今に生きるわれわれ大人が「なぜ地球環境の破壊を止められなかったの?将来のことを心配してくれなかったの?」と言われてはならないと考えます。われわれ世代が地球温暖化にストップをかけなければ人類の滅亡につながることでしょう。

 以上のようにわたしは、ゴア元副大統領が地球規模で世論を動かしておられる姿勢に共感する一人の日本人でありますが、是非お目にかかって直接お話させていただきたいとの思いを抱いております。日頃どのような活動をなさっているのか、中国のように二酸化炭素をたくさん排出する発展途上国をどうしたら巻き込んでゆけるのか、米国の今後の取り組みがどのようになるのか等などもっと突っ込んだご意見を伺いたく存じております。今後のわたしの生き方にきっと良い影響を与えていただけるのではないかと期待しております。わたしのような者がゴア元副大統領にお会いしたいと考えること自体、分をわきまえない人間だと思われるかもしれませんが、非礼を承知の上でお願い申し上げます。