家庭の教育力アップこそ

 NHKの大河ドラマ「西郷どん」が始まった。まだ二回終わっただけだが、毎週楽しみにしてみている。
まず強烈な印象を受けるのが、貧しい下級武士と農民の生活である。そして大家族の中でみんなで助け合っている姿と郷中教育と言われる鹿児島特有の自治組織の絆に驚かされる。女性に教育も受けさせない男尊女卑は許せないが、核家族や離婚の多いいまの日本社会とは大違いで家庭教育や地域の連帯意識もしっかりしていたのだろう。
 先日教育界の著名な先生のお話を聞く機会があった。「政府の少子化対策は『待機児童ゼロ作戦』と『ワークライフバランス(仕事と生活の調和)』が二本柱であるがどちらも上手くいっていない。待機児童が居るのではなく待機母がいるだけです。必要なのは家庭教育なのに子育てよりも仕事を優先させる母親が多いことがいじめや虐待のもとなのです。子供の教育はまず自助、足りないところを地域の人たちに助けてもらう共助、どうしてもできないときは行政の助けを借りる公助というのが順序です。」とのこと。保育所に入れたくて困っている人から袋叩きにあいそうな話である。
 私が議席を持っていたとき、福祉先進国と言われているスエーデンで聞いた話であるが、「スエーデンにはゼロ歳児保育はありません。この国の女性はほとんど働いていますが、子供が生まれると1年間は休職し自分のお乳を含ませて育て2年目から仕事に復帰、保育所に入れるのです。」と言われショックを受けた。日本ではいったん職場を離れると簡単に復職できないしなあと思いながらも「本来ゼロ歳児は母乳を含ませて母親が育てるのがあるべき姿ですね」と選挙区の保育所経営者の集まりで話すと、ある経営者から「私の保育所では生後50日目からお子さんを預かってちゃんと母親代わりをやっています。余計なことを言わないでください」とこっぴどく叱られた。
 でも、私は今も子育ての一番大切な一年目は母親が育てるのが一番だし、そうしたくてもできない環境があることも事実だからその辺の環境整備が先だと思っている。父親が職場から早く帰れるようにするとか、単身赴任をなくす、母親の職場復帰を義務つけるなどやれることはたくさんある。幼児教育の無償化といって単におカネをくれてやるというのは、政治家の票にはなるかもしれないが、国の宝を育てる力にはならないように思う。家庭の教育力アップこそ目標に掲げるべきだ。