日本ハムファイターズの栗山英樹監督

 今年のプロ野球の日本シリーズは日本ハムファイターズの勝利で終わった。
6戦とも手に汗握る好ゲーム、どちらが勝ってもおかしくない試合だった。毎日ラジオやテレビを見ながら(初めて白状するが)栗山監督率いるファイターズを応援していた。
 私は小学校時代からジィアンツの川上哲治選手にあこがれていたからずっと巨人ファンだった。打撃も素晴らしかったが、監督時代も含めて川上哲治という人間がストイックに野球を極めようという姿勢にたまらなく魅力を感じたものだ。しかし、最近は個人個人は素晴らしい能力を持ちながら、ジャイアンツブランドにおぼれチヤホヤされ、野球賭博にはまる選手も出てきて、ほとばしるようなガッツも感じられない。チームとしての魅力に欠ける。
 それであるのに、ジャイアンツの試合を見ると、気になって勝たせてやりたくなってしまう。関西に多い阪神タイガースファンから袋叩きに会いそうだ。
 パリーグでは、4~5年前から栗山英樹監督の経歴を知り、采配ぶりを見てこの人に勝たせてやりたいと思ってきた。選手としては苦難の道、大した成績も挙げられず病気にも苦しんだ。しかし野球が好きで私財を投じて練習場を作り子供たちを育てたり大学で教鞭もとっている偉い人だ。
 今年の15連勝や二刀流大谷投手の存在など話題に事欠かないが、栗山監督が苦労人であるだけに一人一人の選手をよく見ていて起用が実にうまい。なかなか期待にこたえられず悩んでいる選手などに対するケアも素晴らしい。今回のシリーズを見ていても随所にそれを感じ、益々栗山英樹という人間が好きになった。
 勝利監督としてインタビューに答えている言葉も良かった。相手チーム広島の球場であるだけに喜びを抑えながら実に謙虚に言葉を選んでいた。
広島もよく頑張ったし、北海道も燃えて今年のプロ野球は地方の力が花開いた年、ほんとうに良かった。