いのちの電話相談員全国研修大会が終わって

 天理市を舞台に9月15日から17日まで、2泊3日でいのちの電話相談員全国研修大会が開催された。開催地を引き受けた奈良いのちの電話教会副理事長として大会実行委員長をおおせつかっていたからこの一年足らずのあいだどうなることかと心配だった。
 はじめは奈良市内のホテルを使うことで準備し始めていたが、天理教幹部にお願いし天理教や天理大学が持っている施設を使わせていただいた。観光ではなく研修なのだから一部屋6人くらいの雑魚寝を許してもらおう、そして、全国から来る参加者の交流に力を注ごうとわざと部屋割りも他の地域の人と一緒になるようにした。また、ホテルで開催すれば上げ膳据え膳でスタッフも楽だけど、あえてしんどい道を選び手作りの大会とし、おもてなしの心で頑張ろうということになった。天理教職員の皆さんにも献身的にご協力をいただいた。二日目の「こころの体験講座」は9コースに別れ、東大寺、興福寺、法隆寺などを訪ね、お坊さんに公演をいただくなど奈良ならではのメニューを取り揃え、三日目は天理大学の6教室で「よのなか学習会」と称して相談員の実になる講演を先生方にお願いした。天理教の宿泊施設を使わせていただいたことで参加費用を大幅に下げることが出来たこと、コンテンツが評価されたことなどから、例年以上に参加者が増え823人となった。
 それを受けて、(宿泊場所、大学、懇親会場など少し離れているので)アクセスをどうするか、夜外へ出てゆくところも無いなど心配していたが、奈良いのちには知恵袋がいて懇親会や交流会も中身の濃いものとなった。
 私もそろいのティーシャツを着せていただき2泊して全体の進行に目を配っていたが、夜ワンコインで飲めないワインをチビリチビリやりながらの車座トークに入っていろんな地域の人達のお話をきくことができた。「自殺予防のために電話相談をやっているが、後継者が育たない、若い人は精神的経済的に余裕がなくボランティアに参加できない、奈良の今回の大会は素晴らしい、若草色のティーシャツを着たスタッフの皆さんが良くやってくれている」などの感想を聞かせていただき嬉しかった。
 「奈良へきてよかった」と笑顔で帰ってもらえる大会にしようと頑張ってきた甲斐あって「こんなに充実した全国大会は初めて」と多くの方から言ってもらうことができた。ご協力いただいた皆様に感謝!感謝!
 基調講演をなさった河合俊雄先生のお話の中で、「最近の親子関係を見ていると、親が子離れしていない、子供と親が携帯やスマホでつながっていないと心配でならない人が多い」というご指摘があった。それなのになぜ、親が子供を虐待し殺す、子供が親を殺すような事件が多いのか。天理大学の永尾学長が「アフリカのコンゴから今朝帰ったばかり、コンゴは貧しいけれど自殺は無いと聞いた」というご挨拶をされた。豊かな日本がなぜ年間25000人もの自殺者がいるのか、私の頭の中は迷路を彷徨っているようだ。