薬師寺の名僧 故高田好胤師の１７回忌法要に招かれてでかけた。昨日は東京で５００人余り、今日は奈良で１８５２人のお参りだという。私は、大学受験に失敗して浪人していた頃ご縁をいただいてお付き合いが始まり、以来薬師寺に出入りするようになった。京都ホテルでの私の結婚式に来賓としてお越しをいただいた。あの時賜ったスピーチが「愛は辛抱なり」という言葉で、今も頭にこびりついている。
企業や税金に頼らない、お写経で伽藍の復興を成し遂げるという信念で見事に薬師寺を蘇らせただけではなく、修学旅行生を相手にずっと説明を続けられた名調子は語り草になっていることは皆さんご存知だが、私個人にとっても尊敬できる大人物であった。「物で栄えて心で滅ぶ」とか「我が誕生の日は母受難の日」などと教えてくださり、金儲け一辺倒ではだめだということ、母に対する感謝の気持ちをわすれてはいけないなどとささやかな私の人生に大きな影響をいただいた方だった。とにかく偉い人だった。
今日の会場で未亡人や一粒種のエッセイスト高田都耶子さんに久しぶりにおめにかかれ嬉しかった。御嬢さんがまだ小さい頃東京にいらっしゃって、高田管長が薬師寺で東の夜の暗闇に向かって「都耶子ー！」と叫んでおられた姿がいまも脳裏に焼き付いている。