香山リカさんの講演

奈良いのちの電話公開講演会で精神科医の香山リカさんの話を聴いた。「今は精神科医が忙しい時代、IT社会でストレス多く、不安、不信、疑問などが渦巻いている。こういう社会を乗り切るにはどうすればいいか。100社に履歴書を送っても就職が決まらない学生もいる。世の中は私を必要としていないとか私は生きている価値がないなどと思いかねない。表面だけ見ていると幸せそうでなんの問題もないようにふるまっている人も実は誰にも言えないような問題を抱えているものだ。幸せだけの人生を送っている人なんていないし、不幸だけの人もいない。大体平等にいろんなことが起きている。①自分に少し甘く生きる。②過去の栄光にすがってみる。③他人と比べるのは意味がない。④あまり真面目に自分を責めるな。⑤人の力を借りたり甘えて弱みを見せろ。⑥一度断られたらまた次を捜すタフさも必要。」などと心に余裕や自信を持って生きてゆくことを説かれた。

この後、興福寺多川貫首との対談となったが、「なんで生まれてきたのか生きる目的が見つけにくい世の中、生きることのハードルが高くなっている社会だが、みんながこの世の中で必要とされている人間だと思えることが大事で、それを後押ししてゆくのがいのちの電話の役目だ」という結論だったように思う。誰にも悩みを打ち明けられない、相談相手がいない、だから自死を選ぶなど「家族の絆・地域の連帯」が薄くなっている現代社会の病巣を改めて考えさせれた。私は「奈良いのちの電話協会」の役員の末席を穢しているが、いのちの電話相談のボランティアをやってくださっている方々に感謝の気持ちでいっぱいだ。