明けましておめでとうございます。

私が昨年暮れに読んだ本の中にユニクロの柳井正氏の著書「現実を視よ」がある。事業家として日本という国を冷静に視て的確な指摘をしている。ごくごく当たり前のことなのになぜこれができないのだろうかと考えさせられる正月である。

その一部をご紹介したい。

「2012年度予算の税収は42,3兆円。新規国債44,2兆円。これに対して歳出は90,3兆円。これがまともな政治と言えるだろうか。何かが狂っているとしか、言いようがない。企業でも、家庭でも、収入の範囲内でやりくりするのは当然のこと。ところがこの国は、税収の二倍以上の予算を組んで、足りない分は税収を上回る額の国債を発行し、平然としている。(中略)

価値の暴落もなく新規国債が順調に消化できるのは、国民がせっせと蓄えてきた1500兆円もの個人金融資産があるからである。その資産を国家は国民が気づかないうちに勝手に担保にとって、好き放題の予算を組んでいる。謙虚でおとなしく、文句を言わないことは日本人の美徳である。しかし、それも場合によりけり、国民はもっと怒るべきではないか。」

「文部科学省と日教組による教育が、日本人の精神を骨抜きにしたことは間違いない。戦後の日本で日教組がやってきたことは、運動会で全員が手をつないでゴールインする、一等賞をつくらない、通知表も差をつけないという、順位をつけない教育。資本主義という競争社会にこれから出ようという人たちに、『競争は良くない』という思想を植え付けているのだから、日本人の労働力が劣化するのも、起業家が現れないのも、当たり前ではないか。

人間の成長は競争し失敗することから生まれる。挑戦して失敗し、そこでいろいろなことを学び、再び挑戦する。これが成長のサイクルである。

日本を再生するためには教育の立て直しは不可欠である。そのために必要なことは、とにかく優秀な人材を教育現場に集めること。極端に言えば、学校の先生の給料はいまの倍くらいでよいかもしれない。」

「いますぐ手を打たなければ、これまで日本人が想像したこともない『貧困』があっという間にこの国に押し寄せてくる。とにかく政治家はコストカットを恐れないこと。(中略)

無駄の最たるものは公務員の人件費。失われた20年の間、昇給をストップしている、社員の給料を2~3割カットしている企業は珍しくない。それなのに、公僕である 公務員が民間よりも高い給料をもらい続けている状況は、どう考えてもおかしくないだろうか。給料の原資は税金、つまり国民のお金である。」

他にもいろんな指摘がある。誕生した安倍政権がどれだけ国民の期待に応えることができるだろうか、注視してゆきたい。

お節料理