自然体験活動の重要性と奈良県の現状

先生が示してくださった飾り炭の見事な出来栄え

先日から奈良県の「森林環境教育指導者養成」の研修生として全5日間の内4日を受講した。10月27日は奈良県立野外活動センターで実習をうけた。もう50年前のことになろうが、私の父親森岡正辰が初代所長を務めていたところだ。

朝から「野外教育の展開と可能性」というテーマでセンターの吉藤先生の講義を受け、野外で生息する植物や木々の説明を聞き、午後は頼もしい女性の先生が飾り炭、たたき染め、丸太の皮むきやのこぎりの使い方など実践的なことを教えてくださった。

そのなかで、強烈な印象を受けたのが「自然体験の多い小中学生には道徳観・正義感の身についている者が多い」ということであった。文部科学省の新学習指導要領は、自然の中での集団宿泊活動を重点的に推進するために4泊5日程度のキャンプが望まれるとしている。ところが奈良県の実態は1泊2日が多いようだ。兵庫県は5泊6日を20年も続けているという。しかるに奈良県の子供の現況は「規範意識や社会的関心が低く、地域の行事への参加状況も全国平均よりはるかに及ばない」ことは言われて久しい。学習塾に通うのは全国1、だから学力は全国平均より良いが、夜寝る時間が遅く朝ご飯を食べないで学校へ行く子が多いようだ。

集団宿泊活動と子供の規範意識や社会性とをストレートに結びつけるのはどうかという人がいるかもしれないが、私は奈良県の子供たちがそんなに劣っているところがあるとしたらまずやってみるべきだと思う。4泊5日の宿泊活動をやろうとしたら、保護者から「そんなことをしたら塾へやれなくなる」と怒ってくるかもしれない。また、教師も保護者の反対を押し切ってまでやろうという人が少ないのかもしれない。

自然体験の重要性を熱心に説く吉藤先生

高い山に登る、木に登る、海や川で泳ぐ、野鳥・蝶々・とんぼ・バッタ・蝉を捕まえたり星を眺めたりして寝食をともにしながら友達と過ごすことが、子供の人生にとって塾を5日間休むことの何倍も重要であることを、保護者も教師も知ってほしい。

私が所有森を活用してNPO活動をやっている理念もそこにあるのだ。