田舎から見えてくる日本社会の構造的変化

 NHKドラマ「坂の上の雲」の最終回を見てまたまた身体中が熱くなった。日本がロシアのバルチック艦隊を破ったことは黄色人種が白色人種を倒すという世界の歴史を変えた出来事であったと言われているが、改めて日本国の存亡をかけた先輩達の気概に触れる思いであった。今の学校ではこのことはあまり教えられず反戦思想ばかり叩き込んでいるようだが、これでは国を想い守る気持ちが湧いてこない。
 テレビをそのままつけていると、「永田町 権力の漂流」と言う番組が流れていたのでみてしまった。二年半前の政権交代から現在まで政治家の証言を元に振り返ったドキュメンタリーだったが、ウンザリした。「坂の上の雲」との落差があまりにも大きく今の政治家の国民不在の権力闘争にはヘキエキする。その世界で働いていた自分の半生を否定されるような気持ちになる。

 村の今年最後の常会に出席した。たった26戸の大字であるが、年老いたおばあさんだけになったお家が町に住む息子さんのほうに行かれ村のいろんなお付き合いが出来なくなったという。もう一軒、女の人だけのおうちではお寺やお宮のいろんな役が回ってきても出来なくなったという話もあった。これまで助け合いながら墓掘り、道作り、お寺や神社の行事の役目など村を維持してきた機能が少しずつ壊れつつあるのだ。若い人達の殆んどはサラリーマンになっているから、そういうお役が回ってきてもやりつらくなっている。我が家を見ても、私はかろうじて出来る限り村のお付き合いは果たしてゆきたいと思っているが、息子は東京生まれの東京育ち、いまも東京で仕事をしているから私たち夫婦が亡くなったら出来なくなるだろう。
 家も墓も田畑や山林もどうして維持すればいいのか、暗澹たる気持ちになる。我が家や我が村だけの問題ではない。現在の日本社会が抱える構造的変化である。美しい日本の原風景や伝統文化を維持するために努力してくださっている人達に感謝すると同時に政治や行政がどう対処するのか、権力闘争や保身に明け暮れるのを止めて真剣に国の将来を考えて欲しい。