知恵があれば農業は儲かる

 

 紀伊半島に甚大な被害をもたらした台風12号の爪あとが和歌山県とともに我が奈良県でもひどいことになっている。死者・行方不明者が100名を越すというし、テレビに映し出される惨状はあの3.11大震災を彷彿とさせる。道路が寸断され孤立している集落があるとか、電気・水道などのライフラインの回復がまだというところが多い。人工透析などの治療を受けなければならない患者さんたちの問題も深刻だ。
 数百メートルにわたって土砂崩れを起こした急峻な山や濁流が家を飲み込んでいる様子などを見ていると、人間が如何に非力か、大自然に対して如何にチッポケな存在であることかを知らされる思いだ。被災された人達にこころからお見舞い申し上げたい。
 

 我がNPO法人もノン・プロフィットとはいえ霞を食って生きてゆけないので、なにか事業をやらなければと役員の皆さんとともにあれこれ考えている中で、先日から経済産業省の農商工連携事業セミナーを受講している。今日は滋賀県の東近江市の農事組合法人を視察した。滋賀県の有名な珍味「鮒寿司」由来の乳酸菌でつくる漬物、特に水耕栽培の小松菜を使ったキムチが採択されたばかりなのでその説明を聞いたり工場をみせてもらったりした。農業者と中小企業者の連携が新しいビジネスを生んでいるのだが、「鮒寿司」の乳酸菌が接着剤の役割を果たしていることが驚きであった。三越・伊勢丹新宿店でよく売れ、小田急百貨店からも引き合いが来ているというからたいしたものだ。農業は儲からないというけれど知恵があればビジネスとして充分成り立つことを証明している。

 帰り際、農事組合法人の高木理事長さんにご挨拶すると滋賀県の陸上競技の役員もなさっているという。世の中は狭いものだ。どこでどんなご縁をいただくかわからない。

漬物工場内で説明してくださる高木理事長
漬物工場内で説明してくださる高木理事長