中條高徳さんのお話

   私は中條高徳さん(アサヒビールでスーパードライを売り出し会社を再生、大成功を収めた立役者)が会長を務める社団法人日本国際青年文化協会の理事の末席を汚しているが、久しぶりに上京し理事会に出席した。かねてより氏の考え方や生き方に共鳴し尊敬してやまない。人生の師というべき人だ。理事会のあと最近出されたご著書「日本人の気概」をくださった上に約半時間お話を聞くこともできた。

 「今の日本にしかるべきリーダーがいないのはなぜか?それは敗戦後の教育のせいだ」と言い切る。「江戸時代、侍は藩校で四書五経を学び社会のリーダーになる自覚を持っていた。また庶民は寺子屋で読み書きそろばんを学んだ。明治維新では岩倉使節団が欧米をめぐり近代国家如何にあるべきかを学び、富国強兵を急いだ。優秀な官僚や国家の指導者を養成するため旧制高校、帝国大学、陸軍士官学校、海軍兵学校などを作った。現在の高校を見て御覧なさい、予備校化し、大学に入るともう2年生から就職活動、どこで勉強できるでしょうか?エリート教育は不平等教育だと左翼はいう、結果の平等ではなく機会の平等こそ大事だ。指揮官の養成を怠ってきたことが今のリーダー不在につながっている。」

  「そのうえ66年前日本は戦争に負けた。なぜ強大な米英と小さな国日本が戦争をしたのか、今になって過去を批判するのは簡単だが、当時日本は生きるか死ぬか、国家がなくなるかという瀬戸際に追い込まれていた。白色人種が世界中を食いつくし、日露戦争で日本に負けるわけがないと思われていたロシアが負けたことから日本を警戒しだした。資源のない日本、黄色人種の日本をいつか叩かなければと追い込んだ結果があの大東亜戦争になった。日本が負けると『戦争の罪は全部日本にかぶせろ』と歴史を改竄し、『軍人は悪だ、国民は悪くないよ』と民族のなかに敵を作り巧妙な占領政策を実行、憲法を作り替え自分の国を自分で守ることもできない状態におかれたのだ。東日本大震災で自衛隊ががんばったように国家を守るのは軍隊がなければできない。」さすが陸軍士官学校出身の大先輩だ。溜飲を下げた。

 昨年心筋梗塞をわずらわれ見事に生還された。御歳84歳、ご自愛されわが日本国のためにいつまでも長生きしてもらいたいお方である。帰りの新幹線で「日本人の気概」を終わりまで読みきった。魂をゆさぶられる感動の一冊であった。