風吹けども動かず

 朝刊で元奈良県知事上田繁潔氏が亡くなられたことを知った。すでに家族葬が営まれたとのこと、「あの方らしいなあ」と思いながら、知事時代や大阪へ移られて何度かお電話をいただいたときの様子などが蘇ってきた。優しい思いやりのある方だった。周囲の者への気配りや偉ぶらないところ、泰然として動じないところが好きだった。私が落選したときや引退表明をしたときも必ず細かな字で優しさ溢れるハガキをくださり胸が熱くなった。実に淋しい。心からご冥福を祈る。

 昨日政治評論家の話を聴き、所詮評論家はいい加減だなあとガッカリした。たしかこの方は、民主党の代表選で司会を務め「政権交代」を煽っていた人だ。ところが、昨日は「あまりにも復興への動きが遅く菅首相ではダメだ。菅以外なら誰だってまだまし。政治がポピュリズムで動いて良いのか?」などとこき下ろしながら与野党の幹部どれをとってもいいのがいないと滅多切り。1時間余、立て板に水のごとく話されたものの私の胸に響く言葉はなにもなかった。私も菅さんには早く辞めて貰わないとこの国が危ないと思っているが、「しゃべってなんぼ」でカネをもらっている人と責任を担っている政治家とは本質的に違う。私は議員のとき鎌倉の建長寺の管長さんからいただいた「風吹けども動かず」という額をいまでも事務所に掲げ、フラフラしてはいけないと自分を戒めている。上田知事さんも動じない人だった、わたしはまだまだ修行が足りない。