民主主義は回り道?

 例の尖閣諸島周辺で中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりしてきたビデオをユーチューブに流した元海上保安官一色正春氏が外国人特派員協会に招かれて記者会見した様子を動画サイトで見た。質疑の様子を含め全部見たが、実に堂々としていた。英雄気取りとは程遠く「当たり前のことをしたまで」と謙虚な姿勢で丁寧に受け答えしていてりっぱな日本人だなという印象を受けた。会場で質問に立った石原都知事が「日本人を代表して貴方の行動に感謝申し上げます」と言っていたように、中国船の取った行動が如何にひどいものだったかを脚色することなくストレートに世界中に知らしめた功績は絶大であった。更には、このことによって日本政府の対応のまずさも世界中にさらすことになった。

 最近私の顔を見ると「今の政治はひどいですな、わしは期待してたのに。日本はどうなりますか?心配でんな」と同じことを挨拶代わりにいう人が多くなった。「そうですね。『政権交代』に期待が大きかっただけにその反動も大きいですね。だけど今の民主党政権を選んだのは国民ですから、国民の責任も大きいですよ。」と答えることにしている。民主党の内部はどうやら崩壊前夜の様相を呈しているし、菅さんの虚ろな表情と空疎な話ぶりを聞いていると気の毒にさえ感じる。口いっぱいのことを国民に約束して何一つ実行できない今の政権、抗弁ばかりしないでこの際素直に謝って出直すほうがお国のためだ。かといって、攻撃している野党自民党も「えらそうなことを言ってるがなぜ自民党政権時代にやらなかったのか?」と言われてイマイチ人気ない。

 これだけ政治に不満が高まっているのにエジプトをはじめとする中東諸国のようなデモひとつなし、インターネットで誰かが政権打倒のデモを呼びかけても日本では誰も集まらないだろう。総理大臣がひっきりなしに代わる不思議な国だが略奪や暴力沙汰は起きない、ありがたいことだ。昔は2・26事件もあったが今は世界の先進国、民主主義国家として成熟しつつあると喜んでいいのか?解散風のにおいが少ししてきた。近頃は選挙のたびにカゼが吹いてそのカゼに有権者が踊らされる、それが民意だというがこれでいいのだろうか?民主主義とは時間をかけて回り道をしなければ目標には近づけないものなのか。