「秘書が秘書が・・・・・」を思い出す

 検察審査会によって民主党小沢一郎氏の強制起訴が決まったようだ。「疑わしきは罰せず」という言葉があり、これまで検察はなんども不起訴を貫いてきたが、新たな制度による検察審査会が法廷での判断に委ねたことはより国民の目線に近い決断をしたということだ。

 私はかつて自民党の秘書会長や衆議院全体の秘書協議会の会長を務めた。ロッキード事件、リクルート事件、佐川急便事件などをそばで眺めてきたが、いつも真っ先に犯人扱いされるのが秘書であった。「秘書が秘書が・・・・」と呼ばれいつもボスをかばいながら罪をかぶるのが秘書である。リクルート事件では竹下総理の青木秘書は自ら命を絶った。佐川急便事件では金丸氏の生原秘書も有罪となった。当時金丸氏側近の小沢氏は罪を金丸氏にかぶせて自らは忠実な秘書を首にして自民党を出て行った。金丸氏の威光をを傘に来てゼネコンにカネを要求し私腹を肥やし司直の手をのがれたのが小沢氏だともっぱら言われていたものだ。私の前の秘書会長が小沢氏の中条秘書でまじめないい人だっただけに当時私も小沢という政治家は許せないとおもっていた。

 あれからもう17年経ったけれど、いままで小沢と言う政治家が法の網をかいくぐってお咎めなしだったのがおかしいと思う。秘書が3人も起訴されているというのに議員がなにも問われないなどということはありえないことだ。私は加藤紘一氏の事件の折、自民党を代表して質問に立ったが、「秘書が1億円もの大金を代議士に報告しないなんてありえない。私の経験から申し上げる」と言って詰め寄ったのを思い出す。

 小沢氏を初めから黒だと決め付けるのはよくないが、この人にむしりとられ泣かされてきた企業や個人がたくさんいるということは事実だろう。国民が納得いく裁きを期待したい。「たとえ小沢のようなワルであっても政治家としては小沢のほうが期待できるのではないか」という人がいるけれど、こんな人がもしも総理になっていたらと思うとぞっとする。「政治家に倫理を要求するのは八百屋で魚をくれというようなものだ」と茶化したことばもあるが、やはり政治家も皆から尊敬されるような存在でなければこの国は良くならない。「オマエは青臭い、だからダメなんだ」と言われるかもしれないが、それでもいい。