厚労省村木元局長の笑顔

今日は新聞でもテレビでも厚生労働省村木元局長の笑顔を何度もみた。(いまさら説明するまでもないが、)障がい者団体向け割引郵便不正事件で検察の無理な取調べによって罪人扱いされたがひるむことなく懸命に闘ってきた彼女が無罪を勝ち取った笑顔である。私が厚労省の大臣政務官という職にあったとき、彼女は「障がい者自立支援法」立案の中心にいた方で実に素晴らしい仕事ぶりだったことを覚えている。お願いして奈良に来てもらって障がい者団体の皆さんと意見交換してもらったこともある。不正に加担するような人だとは思えなかったし、今回の判決を心から喜んでいる一人だ。文芸春秋の10月号の村木さんの手記を読んで正直自然に涙が湧いてきた。突然の逮捕から1年3ヶ月も拘置所に入れられ精神的肉体的苦痛や有形無形の損失は計り知れないと思う。厚労省女性官僚の星といわれている人が身に覚えの無いことで手錠・腰縄姿にさせられた悔しさを想像すると検察の杜撰な調べに本当に腹が立つ。彼女を信じて支え続けた家族や弁護団ら関係者はえらい。「ほんとに良かったねえ」と厚労省の親しい人に電話を入れたら、彼も実に嬉しそうだった。「これ以上私の時間を奪わないで!」という村木さんの気持ちをかなえてあげられるよう検察も意地を捨てて控訴しないでやって欲しいと思うのは国民みんなの気持ちだろう。

 私は昔、法務大臣秘書官として1年4ヶ月法務省で仕事をしたことがある。「秋霜烈日」のバッジをつけた検事や判事はみなまぶしく見えたし、不正とは妥協しない姿勢に敬服したものだ。検察の仕事は大事だし、今もほとんどりっぱな人ばかりだと思うが、今回の事件の取調べの過程はどう見ても行過ぎている。失った信頼を取り戻す働きをしてもらいたいものだ。

 話は別だが、鈴木宗男議員が実刑確定し、バッジを失うというのに小沢一郎という人はあれだけカネの問題で疑惑をかけられながらシャーシャーとして総理大臣の座を狙えるというのはどういうことなの?と思うのは私だけ??

 衆議院法務委員会の理事も経験したが、長い間「取調べの可視化」問題がくすぶっている。今回のような事件が明らかになるとその方向に流れていくのではないか。長所短所があるから慎重に奥深い議論をしてもらいたいと思う。

 上京した機会に都内のデパートに立ち寄り、東大寺本坊の襖絵完成記念「小泉淳作展」をみてきた。80歳を過ぎて5年がかりで完成させたという蓮や桜の絵を見せてもらって思わず唸った。ご本人が、いのちを削る思いで描いたとおっしゃっているように凄い作品だ。また奈良に宝物が増えたような気持ちになったし、小泉画伯のバイタリティーに感服した。