日本自治創造学会の研究大会に参加して

 埼玉県志木市の前市長穂坂邦夫氏等が立ち上げた「日本自治創造学会」初めての研究大会(東京)に参加した。二日間にわたって盛りたくさんな講義やパネルディスカッションが続きなかなか充実していた。

 会長の佐々木信夫先生(中央大学教授)によると、「これからは地方の時代だというのに、そもそも公選職で選ばれた人が磨かれる場がない。全て議会が決定してゆく自治への環境が整ってきただけに地方議員がもっと切磋琢磨し、地域主権国家を創れるよう努力しなければならない。国政をみていると日本の再生はおぼつかない、地方から挑戦する以外にない。」そんな主旨で創られた会のようだ。当初100名も集まるかと心配しておられたようだが全国各地から380名もの参加者があり会場は満席だった。。地方議員の参加者が多く私のように無職はほとんどいなかったが、「議員でなくても地方を活力あるものにしてゆくことはできる。先進地の事例など聞きながらなにか得られるものがあれば」という思いで参加した。

 「これまでの戦後60年の自民党政権は、中央集権で地方自治よりも全国どこに住んでいても同一性・公平性が担保される均衡の原則に足場を置いてきた。これからは地方が自由に振舞っていけるよう軸足を変えてゆかねばならない。とはいえ、財政調整は必要だし、一定程度ナショナルミニマムは確保できるようガイドラインが求められる。北欧に学ぶべきだ。問題は、財政力のある大都市と脆弱な地方都市との分け前をどのように決めるかだ。」という佐々木先生。

 テレビでおなじみ東京大学教授の御厨 貴先生、「民主党政権の一番の問題点は、止めることはできてもなにか作ることができないことだ。民主党政権が支持率20%を割っても取って代わる受け皿がないのは不幸だ。官僚が一番困っている。政治主導とはどういうことか民主党政権はわかっていない。安全保障問題が風化しいまの政権は、「戦後とか戦前」ということに興味がない。普天間問題はその一つである。戦争責任をあいまいにしてきたり、国会議員でさえ日本の近現代史を学んでいない人が多い。歴史を知らずして何が出来るのか。」などとおっしゃり共感できるところが多かった。

 また、他の先生から「政治家というと国も地方も悪役のイメージ、政治家に対する信用が低下していることが問題。」との指摘がありこれもその通り。医療の難しい勉強しているより有権者から頼まれて市民病院へ入る口利きをしているほうが選挙運動にもなっていいんだよと市会議員が言っているという話もあり考えさせられた。

穂坂先生の「日本は2015年から2025年くらいの間が一番大変、人口が減って団塊世代が後期高齢者になるときをどう乗り切るか。中央集権のくびきから解放され自治体の民営化をもっと進めなければ。」との指摘もうなずけた。

 地域起こしについて高知県の馬路村の事例発表があり大変興味をそそられた。たった人口1千人余りの村で柚子と杉の加工品で32億円を売り上げ全国から注目されているという。馬路村の村長さんが「村おこしに三つの大事な点は、資源を何に決めるか、付加価値をつけることができるか、市場性があるかどうかです」と言われたことが強く頭にのこっている。また「NPO法人が地方の活性化に大きな役割を果たしている」とPHP研究所の方がおっしゃったことも勇気つけられた言葉だった。NPO法人「きみかげの森」を立ち上げこれから活動せんとしているだけに今回の研究大会は私にとって非常に良かった。