生きている証し

 我が家の食事は野菜中心、しかも薄味、家内は「わたしは無理に長生きしたくない。ポックリ死ぬのがいいから。」と口癖のように言うが、糖尿病予備軍の体質に結構気を配っている。だから蛋白源はお豆腐、納豆、干物の魚など、私も付き合わされてめったに牛肉を食べさせてもらえない。ところが先日、家内の誕生日飛び切りおいしい牛肉のすき焼きを食べに行った。二人で「久しぶりに美味しいお肉を食べたなあ」と言いながらも最近太り気味だから毎朝歩こうかということになった。昨日から6時半に起きて顔も洗わず二人で飛び出した。奈良公園の朝は素晴らしい、鹿がたむろし、回りの紅葉が綺麗、落ち葉のたたずまいもなんともいえない風情だ。浮き御堂のあたりまで行って往復すると約1時間で8千歩くらい、清々しい気分で帰ったがサテいつまで続くことやら?三日坊主で終わるのではないかと思うがエイヤーと起きて今朝も国立博物館周辺を歩いた。帰ってからの朝飯は実に美味しい。

 昨日都祁にある県立青少年野外活動センターを見に行った。我が家の持山を子供達や障害者のために活用できないかと模索しているから勉強のために思い立ったのである。広大な山林にいろんな施設があり年間4万人前後の人がきているという。初代の所長が私の父で設立40年の歴史を刻んでいるが、今の藤森所長さんが設立20年のときの記念誌を見せ「森岡さんのお父さんが所歌を作詞してくださっています。」と言って森岡正辰作詞・本霊元朝作曲の歌のページを開いてくださった。父が生きていた証しがここにもあった。急に父の面影が浮かんできて昭和44年当時奥田知事の命を受け建設途上のセンターで苦労していたことを思い出した。40年を経た施設は相当老朽化している感じもあるが、青少年を自然に触れさせるのとによって健全に育成していこうという父を含む先人達の想いが森に凝縮されているように思えた。

 私の子供たちはそれぞれ自分の道を切り開いていくだろう。これから老いていく家内と二人、やっぱり健康で出来る限り長生きし少しでも社会のために生きている証しを残したいものだ。