NHKテレビ「立花隆の癌の謎に挑む」を見て

  NHKスペシャル「立花隆の癌の謎に挑む」75分の番組を見て考えさせられた。これだけ医学が進歩しているのだから人類はもうじき癌を克服することができると思い込んでいたけれど、あと50年から100年かかるという。しかも、癌の遺伝子は動物の進化と直接関わっていてむちゃくちゃしつこい奴、実に手ごわい相手だそうな。世界中で癌による死亡者は年間800万人、日本だけで33万人、人間の半分は癌に罹り3分の1は癌で死ぬといっていた。

 身近にもいま癌で苦しんでいる人がいる、私の両親も癌で亡くなっている。家内のお母さんも癌だった。私も「オレは元気だ」と言っているが、何時癌に罹るかわからないな。最後にテレビに登場した(癌患者の最後を看取っている)鳥取の医師徳永先生は医者というより宗教者のようであった。患者さんに思い残すことなく旅立てるように明るく接して、「人間は死ぬときまで凄い力を持っています」という。

 一緒にテレビを見ていた家内は「貴方が癌になっても手術はしないでね。私も手術は要らないから。自然に死んでいくのがいいのよ。手術で癌が治ることはないんだから」という。実に達観している。僕はまだ死ぬことなんか真剣に考えたことがないし、まだまだやりたいことがいっぱいある。でも立花隆も「わたしは癌が再発したら抗がん剤は使いません。生きる質を落としてまで長く生きようとは思わない」と言っていたのが印象的で実に重い番組だった。