愛猫との別れ

 20年以上も家族の一員として過ごしてきた愛猫「アキちゃん」が今日息を引き取った。「ただいまー」と帰ると家内が泣きながら「アキちゃんが死んだ」という、わたしも身体中の力がいっぺんに抜けてしまった。アキちゃんのやせ細った骸にひざまずき身体をなでてやったら涙があふれてきた。思えば、平成元年、傷を負った生まれたばかりのメス猫が荻窪の我が家に迷い込んできたのが最初の出会いだった。荻窪、西小岩、奈良の法連、いまのマンションと住居を転々としながらもアキちゃんは常に我が家のアイドルで皆に愛されていた。白と茶色の美人猫でもあり家内はいつもそれを自慢していた。また、娘は格別この猫を可愛がっていた。
 日ごとに弱ってクルアキちゃんをみて家内は「アキちゃんがもうだめかもしれないよ」と今朝滋賀県に住む娘に電話を入れていたが、先ほど帰ったものの間に合わなかった。アキちゃんの骸の前で泣き崩れる娘をみてまたもらい泣きした。人間でいうと100歳以上の大往生だというものの二十年も一緒に暮らしてきた間柄、淋しく哀しいものだ。皆に愛されてキット幸せな人生いや猫生だったろう、安らかな眠りについて欲しい。
 あしたは、都祁の庭のすずらんの群生するところに穴を掘って葬ってやる予定だ。「アキちゃん僕たち家族のために長い間ありがとう。