政治家の世襲と政治の劣化

 次期衆議院選挙に立つ予定者の内133人が親や親族から地盤を引き継いだ世襲候補だという。全体の15%、しかも自民党は33%、民主党の8%と比べて4倍だそうな。民主党は3親等内の親族が同一選挙区で連続立候補するのを党の内規で禁じ、衆議院選挙のマニュフェストに盛り込む方針だという。自民党の中でも随分議論が高まっているようだ。世襲制限に反対する人、賛成する人どちらも言い分はあるようだが、目に余るほど世襲議員が多くなってきたからこそ問題になっているのだろう。

 わたしのように、選挙に苦労してきたたたき上げからすると、職業選択の自由[憲法]を持ち出して世襲を正当化するのには違和感を持つ。会社経営などの相続と選挙で選ばれる公職とは基本的に違う。地盤・看板・カバンどれをとっても明らかにはじめからゲタをはかせてもらえる世襲の息子や娘と私などとはスタートが違う。世襲するひとが政治家として有能であるとか無能であるというような次元の話ではない。小泉元総理は、特定郵便局長の世襲には猛烈に反対しておいて自分の後釜には人生経験の浅い次男にバトンタッチするのも許せない、私一人の感情ではなくおおかたの国民の感覚だと思う。自民党も、親と別の選挙区から出るならば世襲も結構だが同一選挙区からはダメくらいのことは決めないと、日本の政治そのものが劣化してゆくような気がする。