人間の愚かさ無力さ

 NHKの特別番組で薬師寺の日光・月光菩薩を扱っていた。40年前の荒れ果てた薬師寺を今日のりっぱな姿にされた故高田好胤管長らの偉大さに改めて敬服の念を抱いた。はじめて東京へ両菩薩がお出ましになりいま東京国立博物館で多くの人たちにご覧いただいているようだがテレビの解説を聞いて「よくぞ1300年も前にこんな素晴らしいブロンズ像が作られたもんだ。」と思ったし、その美しさにこころ洗われ涙が自然に溢れてくるのを感じた。

 ご本尊の薬師如来とともに今日までこの両菩薩が果たしてこられた力は計り知れない、多くの人たちが病から救われたろうと思うと、敬虔な仏教徒が多いチベットの皆さんがいま共産主義の犠牲になって苦しんでいることにこころが痛む。神仏をも恐れない人間の愚かさ、無力さを感じる。神様仏様を冒涜することは一人ひとりの人間の醜さや未熟さをさらしていることだ。戦争は人間の心の中にあるという国連のユネスコ憲章をもういちどかみ締めねばなるまい。政治家もしっかりしなきゃ、薬師三尊が睨んでる。